いでに記してみるが、『本草綱目啓蒙』防已の条下に「今花戸ニ一種唐種漢防已ト呼ブ者アリ葉形オホツヅラフヂニ似テ薄ク色浅シ蒂モ微シク葉中ニヨル根ハ細ク色黄ニシテ内ニ白穰アリテ車輻解ヲナサズコノ草ハ諸州深山ニモアリ勢州ニテ、コウモリヅタト呼ビ越前ニテ、コツラフヂト云」との文があって、唐種漢防已とコウモリヅタ[牧野いう、コウモリカヅラのこと]とを同種だとしているのは誤りで、この二つは全然別種である。漢防已はけっして我が日本には産しないから右の『啓蒙』の記すところは全く間違っている。この『啓蒙』にはこんな誤謬が書中いたるところに見出さるるのは遺憾である。櫛をつくる材をモチノキ属のイヌツゲだとしているなどは中にもその誤りの大きなものであって、黄楊のツゲすなわちホンツゲが泣いていることが聞えんだろうか。

  ゴンズイ

 ミツバウツギ科の落葉小喬木にゴンズイという雑木があって山地の林樹にまじって生じ、枝に奇数羽状複葉を対生し一種の臭気を感ずる。秋にその※[#「くさかんむり/朔」、第3水準1−91−15]果《さくか》が二片に開裂するとその内面が赤色で美しく一、二の黒色種子が露われる。『本草綱目啓蒙』
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