ニ数葩」(漢文)とほんのこればかりの短文から出たものであるが、この燕子花はじついうとキツネノボタン科(Ranunculaceae)の一陸草である Delphinium grandiflorum L[#「L」は斜体]. の漢名である。この植物はまた飛燕とも紫燕とも称し、和名をオオヒエンソウと呼ばれる。右の「藤ニ生ズ」とはヒョロヒョロした弱い茎に碧紫色の美花が七、八輪も咲いているので、それで「一枝ニ数葩」と書いたものだ。そしてこの植物は前述の通り陸草であって水草ではなく、その産地は中国の北部から満州へかけ、また広くアルタイ、バイカル、ダフリア、オホーツクなどのシベリア地方に野生し普通に見られる宿根性の花草であって、これが前記の通り燕子花そのものである。
カキツバタはアヤメ科 Iris 属[#「属」に「ママ」の注記]の水草で、その花梗はツンとして強く立っており、花は梗頂に通常三個あるが、それが一日に一輪ずつしか咲かない。こんな草を、ヒョロヒョロして弱い茎に七、八花も咲く本当の燕子花に比べれば少しも合致するところがなく、カキツバタを燕子花だとする従来の学者の迂遠を笑わざるをえない。世人殊に詩
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