べきでない。ゆえに甘藍はキャベツすなわちタマナではあり得ない。
 右のキャベツすなわちタマナは Brassica oleracea L[#「L」は斜体]. の中のものではあるが、これは葉が層々と密に相包んで大きな球になる品で、学名でいえば Brassica oleracea L[#「L」は斜体]. var. capitata L[#「L」は斜体].(この capitata は頭状の意)である。
 キャベツはキャベージ(Cabbage)の転化した言葉である。この Cabbage とは大頭の意であって、これは熱帯椰子類の数種の新梢芽が頭状に塊まっているので、本来はそれを Cabbage といったものだ。そしてこの嫩芽《わかめ》は食用になるものであって原住民は常にそれを食べている。そこで Brassica oleracea L[#「L」は斜体]. var. capitata L[#「L」は斜体]. へこの Cabbage の名を借り来ってそのタマナを Cabbage といったものだ。それがすなわちキャベツである。中国ではこのタマナを椰菜《ヤサイ》と称する。それはもと Palms すなわち椰子
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