フ愚考するところではツチハリに三つの候補者がある。すなわちその一はハギ(萩)の嫩い芽出ちの苗、その二はハンノキ、その三はコブナグサである。そこで私はこのコブナグサこそそのツチハリではなかろうかと信じている。すなわちその禾本科なるこの草は通常家の居囲りの土地に生えていて、その花穂が針のように尖っており、(それで土針というのだと想像する)、そしてその草が染料になるのだから、この万葉歌のツチハリとはシックリと合っているように感ずる。しかしこの事実は古来何人も説破しておらず、この頃私の初めて考えついた新説であるから、これが果たして識者の支持を受け得るか否かは一切自分には判らない。
 右のコブナグサであれば、歌の「わがやどに生ふる」にも都合がよく、また「衣《きぬ》にすらゆな」にも都合がよい。
 このコブナグサは Arthraxon hispidus(Thunb[#「Thunb」は斜体].)Makino[#「Makino」は斜体] の学名を有し、ホモノ科(禾本科)の一年生禾本で、各地方の随地に生じ土に接して低く繁茂し、前にも書いたように秋に沢山な針状花穂が出て上を指している。細稈に互生した有鞘葉は
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