艪驪根植物で襲重鱗茎《しゅうじゅうりんけい》(Tunicated Bulb)を地中深く有するものである。
 さてこのヒガンバナが花咲く深秋の季節に、野辺、山辺、路の辺、河の畔りの土堤、山畑の縁などを見渡すと、いたるところに群集し、高く茎を立て並びアノ赫灼《かくしゃく》たる真紅の花を咲かせて、そこかしこを装飾している光景は、誰の眼にも気がつかぬはずがない。そしてその群をなして咲き誇っているところ、まるで火事でも起こったようだ。だからこの草には狐《キツネ》ノタイマツ、火焔《カエン》ソウ、野ダイマツなどの名がある。すなわちこの草の花ならその歌中にある「灼然《いちじろく》」の語もよく利くのである。また「人皆知りぬ」も適切な言葉であると受け取れる。ゆえに私は、この万葉歌の壱師すなわちイチシは多分疑いもなくこのヒガンバナすなわちマンジュシャゲの古名であったろうときめている。が、ただし現在何十もあるヒガンバナの諸国方言中にイチシに彷彿たる名が見つからぬのが残念である。どこからか出て来い、イチシの方言!

  万葉歌のツチハリ

 万葉歌のツチハリ、それは『万葉集』巻七に「わがやどにおふるつちはりこ
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