に馬鈴薯を用い、フキに※[#「肄のへん+欠」、第3水準1−86−31]冬あるいは蕗を用い、ワサビに山※[#「くさかんむり/兪」、202−5]菜を用い、カシに橿を用い、ヒサカキに※[#「木+令」、第4水準2−14−46]を用い、ショウブに菖蒲を用い、オリーブに橄欖を用い、レンギョウに連翹を用い、スギに杉を用うるなど、その誤用の文字じつに枚挙するにいとまがない。この悪習慣が一流の学者にまで浸潤し、どれほど世人を誤っていて事体を複雑に導いているか、じつにはかり知るべからずである。こんなわけであるから古典学者などは別として普通一般の人々は、植物の名はいっさい仮名で書けばそれでよいのである。なにも日本の名を呼ぶのにわざわざ他国の文字をかり用いる必要は決してないと私は深く信じている。そしてこれは明治二十年以来の私の主張であるのである。
底本:「花の名随筆6 六月の花」作品社
1999(平成11)年5月10日初版第1刷発行
底本の親本:「牧野富太郎選集 第二巻」東京美術
1970(昭和45)年5月発行
入力:門田裕志
校正:川山隆
2007年12月9日作成
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