なわち木通はあけびではないということになったので、そこであけびが果して薬になるかどうかということが分からなくなってしまった。
 ここに面白いことは、このあけびの学問上の属名をあけびあ、すなわち Akebia ということである。これは無論日本名のあけびを基として作られた世界共通の属名である。そしてその中のあけびをば Akebia quinata と称し、みつばあけびをば Akebia lobata と称する。これは学問上の通称で、この名であれば世界中の学者にはだれにでも通ずる。学問上にはどの植物にもこんな公称があって学者はこれを使用しているのである。あまり長くなるのであけびの件これで打ち止め。



底本:「花の名随筆10 十月の花」作品社
   1999(平成11)年9月10日初版第1刷発行
底本の親本:「牧野富太郎選集 第三巻」東京美術
   1970(昭和45)年6月発行
入力:門田裕志
校正:川山隆
2007年12月19日作成
青空文庫作成ファイル:
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