まで、草の根を押《お》しわけて探してみましたが、処々に遺《のこ》っているコカコラの空瓶《あきびん》、チュウインガムの食滓《たべかす》などのほかには、水滴をつづった青草が、どこまでも意地悪く、羅列《られつ》しているばかりです。
 大体、前の日、歩いた記憶《きおく》を辿《たど》り、さがしてみたのですが、一通り歩いても、どうしてもありません。リンキイ君が、五|仙《セント》玉をひとつ拾っただけで、「チェッ」と舌打ち諸共《もろとも》、銀貨を空に抛《ほう》りあげ、意気なスタイルをみせてくれただけの事でした。
 歩きつかれ、探しつかれて、帰ってくると、みんな朝飯を食いに食堂に行った後のがらんとした寝室《しんしつ》を、コックの小母《おば》さんが、掃除《そうじ》していましたが、ぼくをみるなり「坂本さん。これあんたんじゃろう。随分《ずいぶん》、あんたを探していたのよ」と差出してくれたのは、失《な》くしたとばかり、思っていた蟇口です。ぼくのベッドの下に落ちていたそうで、この様子をぼくについて来て、ぼんやりみていた Mr. Lincoln いきなりぼくの手を握《にぎ》りしめ「ありがと。ありがと」と打振ります。ぼくには、少年の親切が、身に染《し》みて嬉《うれ》しかった。
 これは後の話ですが、ぼく達が帰国する日も迫った頃《ころ》、ぼくは日本への土産《みやげ》に、自動車のナムバア・プレェトが欲《ほ》しく、それをこのリンキイに頼《たの》みますと、その日、子供に借りた自転車で、附近《ふきん》を乗り廻《まわ》していたぼくの瞳に、道路の真中で、五六人の少年少女が集まり、リンキイが先に立って、なに事か、一心不乱に、働いているのがみえました。
 近よってみると、まだ新しいナムバア・プレェトが、アスファルト路の欠けた処を塞《ふさ》ぐために釘《くぎ》づけにしてあるのを、子供達が、各自家から持出した、金槌《かなづち》、やっとこの類で、取りはずすのに、大童《おおわらわ》でした。勿論、警官にみつかれば、叱《しか》られるのでしょうが、このアワア・ギャング達は、おめず臆《おく》せず、堂々と取ってのけ、その場で、ぼくにくれるのでした。
 また、帰国が近づいた頃、うす汚い、真鍮《しんちゅう》のロケットをぼくにくれた、カアペンタアという八つ位のお嬢さんも、ぼくと仲が善《よ》く、再々、彼女の宅にも引張って行かれました。その娘《
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