次いで終戦となり、昭和二十年十二月廿四日に進駐軍のため接収され、比島戦線にて活躍して散った米国の新聞記者のアーニイ・パイルの名を冠したアーニイ・パイル劇場として、永らく米軍の用に供しておったのでありますが、その間紆余曲折はありましたが、幸い昭和三十年一月二十七日をもって接収を解除され東宝の手に戻ったのであります。

 そして久方振りに宝塚歌劇を上演、軒高く五線譜の淡い薄緑のネオンが輝き、美しい歌声のもれる劇場となりました。この日の来るのを、千秋の思いで待ちこがれていたのは、私のみではないと信じます。今後、東宝の宝塚本営として、私が創設しました四十年昔の宝塚の理想を発揮しうる時代が来ることを確信しております。[#地付き](三〇・四・一五 東京宝塚劇場にて)



底本:「宝塚漫筆」阪急電鉄
   1980(昭和55)年2月15日発行
底本の親本:「宝塚漫筆」実業之日本社
   1955(昭和30)年6月20日発行
入力:鈴木厚司
校正:川山隆
2007年12月20日作成
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