ニは出来まいと思うよ。何故なら、坑道にあるスリッパの跡を人形の足跡に比較すると、その歩幅と足型の全長とが等しく、またスリッパの跡が、人形の歩幅と符合するのだ。それが熊城君、実に面白い例題なんだよ」とそれから煖炉《ストーブ》の前で、法水は紅い※[#「火+畏」、第3水準1−87−57]《おき》に手をかざしながら続けた。
「ところで、あの人形の足型というのは、元来僕が、敷物《カーペット》の下にある水滴の拡がりを測って出来たものなんだ。そして、上下両端の一番鮮かだった――つまり云い換えれば、水滴の量の最も多い部分を、基準としての話だったのだったからね。……そこで、僕が|+−《プラスマイナス》と呼ぶ詭計《トリック》を再現できるんだよ。で、それはほかでもなく、スリッパの下にもう二つのスリッパを仰向けに附けて、またその二つのスリッパを、互い違いに組み合わせるのだ。そして、それに扉《ドア》を開いた水をタップリ含ませてから、最初に後の方の覆《カヴァ》を、強く踵《かかと》で踏む。すると、覆《カヴァ》の中央に、やや小さい円形の力が落ちることになるから、当然その圧し出された水が、上向き括弧《かっこ》())[#
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