キ》ぶり消えるだろうと思われた。それに、館中の響がこの空間には異様に轟《とどろ》いてきて、時折|岐路《えだみち》ではないかと思ったり、また、人声のようにも聴えたりして、胸を躍らすのもしばしばであった。しかし、スリッパの跡はどこまでも消えずに彼等を導いていった。その足許には、雪を踏みしだくような感じで埃の堆積が崩れ、それを透かして、※[#「木+解」、第3水準1−86−22]《かし》の冷たい感触が、頭の頂辺《てっぺん》まで滲み透るのだった。こうして、この隧道《タンネル》旅行は、かれこれ二十分あまりも続いた。坑道は右に左に、また、ある部分は坂をなし、ほとんど記憶できぬほど曲折の限りを尽して、最後に左に曲ると、そこは袋戸棚のような行き詰りになっていた。そして、そこにも魔王バリの面が発見された。ああ、その石壁一重の彼方は、館の何処《いずこ》であろうか。法水は固唾《かたず》を呑《の》んで面の片眼を押した。すると、その右の扉《ドア》は、熊城の肩を微かに掠《かす》って開かれたが、前方にも依然として闇は続いている。しかし、どこからとなく、寛《ゆるや》かな風が訪れてきて、そこが広い空間であるのを思わせるの
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