ヤ隙を歩いて、何処《いずこ》へ辿りつくのだろうか。鐘鳴器《カリルロン》室か礼拝堂かあるいは殯室《モーチュアリー・ルーム》の中にか、それとも四通八達の岐路に分れて……。
二、伸子よ、運命の星の汝の胸に
足許には小さな階段が一つあって、そこから漆《うるし》のような闇が覗《のぞ》いている。永年外気に触れたことのない陰湿な空気が、さながら屍温のようなぬくもりと、一種名状の出来ぬ黴《かび》臭さとを伴って、ドロリと流れ出てくる――文字どおりの鬼気だった。法水等三人は、さっそく懐中電燈を点して、肩を狭めながら階段を下りて行った。すると、そこは半畳敷ほどの板敷になっていて、そこまで来ると、今までは光線の加減で見えなかったスリッパの跡が、床に幾つとなく発見された。しかし、その中にはきわめて新しい一つがあって、それが一直線に階段の上まで続いているけれども、その小判形の痕《あと》には、たぶん静かに歩いたせいでもあろうか、前後の特徴さえも残っていないのである。したがって、はたしてそれが階段から下りて来たものか、それとも、奥の坑道から辿り来ったものか、勿論その識別は不可能なのであった。その時、周囲
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