ヘが働くと、そこに一種の錯覚が起らねばならないからです。けれども僕は、それに独自の解釈を加えて、その公式――つまり、Tumult《テューマルト》 |+《プラス》 Railroad《レイルロード》 |=《イコール》 Tunnel《タンネル》 を逆に応用して、まず1を相手の心像とし、その未知数を2と3とで描破しようと企てたのでした。そこでまず、|そこにあるは薔薇なり《ドッホ・ローゼン・ジンテス》――と云った後で、貴方の述べる一句一句を検討してみました。すると、貴方は僕の顔色を窺《うかが》うような態度になって、では薔薇乳香《ローゼン・ヴァイラウフ》を焚《た》いたのでは――と云われましたね。僕はそこで、ズキンと神経に衝《つ》き上げてくるものを感じたのです。何故なら、公教《カトリック》でも猶太《ユダヤ》教でも、乳香にはボスウェリア種とテュリフェラの二種しかないからで、勿論混種の香料は宗儀上許されていないからです。つまり、薔薇乳香《ローゼン・ヴァイラウフ》という一言は、貴方の心中、奥深くに潜んでいるものがあって、その有機的な影響に、違いないと結論するに至りました。明らかにその一語は、何か一つの真実
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