ノ頷《うなず》いたけれども、彼はしだいに言葉の調子を高めていった。
「ところがレヴェズさん、僕は遺言書と不可分の関係にある、もう一つの動機を発見したのでした。それは、算哲が残した禁制の一つ――恋愛の心理なのです」
「なに、恋愛……」レヴェズは微かに戦《おのの》いたけれども、「いや、いつもの貴方なら、それを恋愛的欲求《フェルリープト・ザイン・ヴォーレン》とでも云うところでしょうな」と相手を憎々しげに見据えて云い返すのだった。それに、法水は冷笑を泛《うか》べて、
「なるほど……。でも、貴方のように恋愛的欲求《フェルリープト・ザイン・ヴォーレン》などと云うと、ますますその一語に、刑法的意義が加わってくる訳ですな。しかし、僕はその前提として、一言、算哲の生存と地精《コボルト》との関係――に触れなければならないのです。いかにも、その魔法的効果に至っては、絶大なものに違いありますまい。ですがレヴェズさん、結局、僕はそれが比例《プロポーション》の問題ではないかと思うのですよ。貴方は、たぶんその符合を無限記号のように解釈して、永劫《えいごう》悪霊の棲む涙の谷――とくらいに、この事件を信じておられるでし
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