Jきましょう」
それから、二人が戻ってくるまでの間は、誰一人声を発する者がなかった。それぞれの頭の中では、各人各種の思念が渦のように巻き揺いでいた。検事と熊城には、事件の開展が期待され、また、旗太郎はその開封に、何か自分の不利を一挙に覆《くつがえ》すようなものを、待設けているかのごとくであった。間もなく、二人の姿が再び現われて、法水の手に一葉の大型封筒が握られていた。ところが、環視の中で封を切り、内容を一瞥《いちべつ》すると同時に、法水の顔には痛々しい失望の色が現われた。ああ、ここにもまた、希望の一つが虧《か》け落ちてしまったのだ。それには、いっこうに他奇もない、次の数項が認《したた》められてあるのみだった。
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一、遺産は、旗太郎並びにグレーテ・ダンネベルグ以下の四人に対し、均等に配分するものとす。
二、なお、すでに当館永守的な戒語である――館の地域以外への外出・恋愛・結婚、並びに、この一書の内容を口外したるものは、ただちにその権利を剥奪さるるものとす。ただし、その失いたる部分は、それを按分に分割して、他に均霑《きんてん》さるるものなり。
以上は、口頭にても各
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