ト」
「なに、押鐘津多子を※[#感嘆符疑問符、1−8−78]」それには、法水もさすがに驚かされたらしかった。「すると、貴方がたを殺すとでも云いましたかな。いや、事実あの方には、とうてい打ち壊すことの出来ない障壁があるのです」
それに、レヴェズ氏が割って入った。そして、相変らず揉み手をしながら、阿《おもね》るような鈍い柔らか味のある調子で云った。
「ですが法水さん、その障壁と云うのが、儂《わし》どもには心理的に築かれておりますのでな。お聴き及びでしょうが、あのかたは、御夫君もあり自邸もあるにかかわらず、約一月ほどまえから、この館に滞在しておるのです。だいたい理由もないのに、御自分の住居《すまい》を離れて、何のために……いや、まったく子供っぽい想像ですが」
それを法水は押冠せるように、「いや、その子供なんですよ。だいたい人生の中で、子供ほど作虐的《ザディスティッシュ》なものはないでしょうからな」と突き刺すような皮肉をレヴェズ氏に送ってから、「時にレヴェズさん、いつぞや――|確かそこにあるは薔薇なり、その附近には鳥の声は絶えて響かず《ドッホ・ローゼン・ジンテス・ウォバイ・カイン・リード・
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