われたのか――恐らくその片影すら、窺《うかが》うことは不可能であるに相違ない。云うまでもなく法水でさえも、原型を回復することは勿論のこと、この紛乱錯綜した謎の華《はな》には、疑義を挾む一言半句さえ述べる余地はなかったのである。しかし法水は、心中何事か閃《ひらめ》いたものがあったとみえて、鑑識課員に靴跡の造型を命じた後に、次項どおりの調査を私服に依頼した。
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一、附近の枯芝は何時《いつ》頃焼いたか?
一、裏庭側全部の鎧扉に附着している氷柱《つらら》の調査。
一、夜番について、裏庭における昨夜十一時半以後の状況聴取。
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 それからほどなく、闇の中を点のような赭《あか》い灯が動いていったと云うのは、法水等が網龕灯《あみがんどう》を借りて、野菜園の後方にある墓地に赴《おもむ》いたからだった。その頃は雪が本降りになっていて、烈風は櫓楼を簫《しょう》のように唸《うな》らせ、それが旋風《つむじ》と巻いて吹き下してくると、いったん地面に叩き付けられた雪片が再び舞い上ってきて、たださえ仄《ほの》暗い灯の行手を遮るのだった。やがて、凄愴《せいそう》な自然力に戦
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