と熊城は何もかも夢中になって、伸子の肩口を踏み躙《にじ》ったが、その時法水が中央の扉を、ほとんど放心の態で眺めているのに気がついた。卵色の塗料の中から、ポッカリ四角な白いものが浮き出ていた。近寄ってみると、検事も熊城も思わず身体が竦《すく》んでしまった。その紙片には……
Sylphus《ジルフス》 Verschwinden《フェルシュヴィンデン》(風精《ジルフス》よ消え失せよ)
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第三篇 黒死館精神病理学
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一、風精《ジルフス》……異名《エーリアス》は?
Sylphus《ジルフス》 Verschwinden《フェルシュヴィンデン》(風精《ジルフス》よ。消え失せよ)
鐘鳴器《カリリヨン》室に三つあるうちの、中央の扉高くに、彼等の凝視を嘲り返すかのごとく白々しい色で、再びファウストの五芒星呪文の一句が貼り附けられてあった。のみならず、Sylphe《ジルフェ》 の女性をそれにもまた男性化しているばかりでなく、再び古|愛蘭《アイリッシュ》のような角張ったゴソニック文字で、それには筆者の性別は愚かなこと毛のような髯線《ぜんせ
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