易介は自殺で、この創《きず》は犯人が後で附けたのではないだろうか」
「そうなるかねえ」と法水は呆れ顔で、「すると、事によったら吊具足は、一人で着られるかもしれないが、だいたい兜の忍緒《しのびお》を締めたのは誰だね。その証拠には、他のものと比較して見給え。全部正式な結法で、三乳《みつぢ》から五乳《いつぢ》までの表裏二様――つまり六とおりの古式によっている。ところが、この鍬形五枚立の兜のみは、甲冑に通暁している易介とは思われぬほど作法はずれなんだ。僕がいま、この事を庄十郎に訊ねたと云うのも、理由はやはり君と同じところにあったのだよ」
「だが男結びじゃないか」と熊城が気負った声を出すと、
「なんだ、セキストン・ブレークみたいなことを云うじゃないか」と法水は軽蔑的な視線を向けて、「たとえ男結びだろうと、男が履《は》いた女の靴跡があろうとどうだろうと……、そんなものが、この底知れない事件で何の役に立つもんか。これはみな、犯人の道程標《みちしるべ》にすぎないんだよ」と云ってから懶気《ものうげ》な声で、
「易介は挾まれて殺さるべし――」と呟いた。
黙示図において、易介の屍様を預言しているその一句は
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