指差して、彼の説を持ち出した。
「僕はなんだか、兜の重量に何か関係があるような気がするんだ。無論、創《きず》と窒息の順序が顛倒してりゃ、問題はないがね……」
「そうなんだ」と法水は相手の説に頷《うなず》いたが、「一説には、頭蓋のサントリニ静脈は、外力をうけてからしばらく後に、血管が破裂すると云うからね。その時は、脳質が圧迫されるので、窒息に類した徴候が表われるそうだよ。しかし、これほど顕著なものじゃない。だいたいこの死体のは、そういった頓死的なものではないのだよ。じわじわと迫っていったのだ。だから、むしろ直接死因には、咽輪《のどわ》の方に意味がありそうじゃないか。無論気管を潰すというほどじゃないが、相当頸部の大血管は圧迫されている。すると、易介がなぜ悲鳴を上げなかったか――判るような気がするじゃないか」
「フム、と云うと」
「いや、結果は充血でなくて、反対に脳貧血を起すのだよ。おまけに、グリージンゲルという人は、それに癲癇《てんかん》様の痙攣《けいれん》を伴うとも云っているんだ」と法水はなにげなさそうに答えたけれども、なにやら逆説《パラドックス》に悩んでいるらしく、苦渋な暗い影が現われ
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