的じゃない。ところで、貴方が算哲博士の死を発見されたそうですが、たぶんその下手人が、誰であるかも御存じのはずですがね」
これには、真斎のみならず、検事も熊城もいっせいに唖然となってしまった。真斎は蟇《がま》みたいに両|肱《ひじ》を立てて半身を乗り出し、哮《た》けるような声を出した。
「莫迦《ばか》な、自殺と決定されたものを……。貴方《あんた》は検屍調書を御覧になられたかな」
「だからこそです」と法水は追求した。「貴方は、その殺害方法までもたぶん御承知のはずだ。だいたい、太陽系の内惑星軌道半径が、どうしてあの老医学者を殺したのでしょう?」
二、鐘鳴器《カリリヨン》の讃詠歌《アンセム》で……
「内惑星軌道半径※[#感嘆符疑問符、1−8−78]」このあまりに突飛《とっぴ》な一言に眩惑されて、真斎は咄嵯《とっさ》に答える術《すべ》を失ってしまった。法水は厳粛な調子で続けた。
「そうです。無論史家である貴方は、中世ウェールスを風靡《ふうび》したバルダス信経を御存じでしょう。あのドルイデ([#ここから割り注]九世紀レゲンスブルグの僧正魔法師[#ここで割り注終わり])の流れを汲《く》ん
前へ
次へ
全700ページ中120ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
小栗 虫太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング