間くらい、胴のしっかりしたものがいい。道糸は秋田の三十本撚りくらいにして錘《おもり》から上を三、四尺三厘柄のテグス、鈎は中輪の三分くらいで二本鈎にする。鈎素《はりす》は下鈎は六寸、上鈎が四寸程度である、仕掛けの全長は竿よりも三、四尺短くするのが探りいいのである。道糸に一分玉から二分玉くらいの玉浮木を五、六寸間隔に七、八個つける、下から次第に上の方へ玉を大きくしていく人もあるし、それと反対にする人もある。それは好き好きである。なるべく形の大きい蚯蚓《みみず》を餌にして枯れた真菰のまわりや腐った藻の切れ目などへ道糸を垂直につるし込み、入れると間もなく数多い玉浮木がずるずると引っ張り込まれていく興趣は実に何ともいわれない。ここには沢山いるというところを発見したら、そこで携えていった数本の竿を出して並べ釣りをやるのもいいだろう。探り釣りには時々ほんとうの尺鮒が出るから油断はならない。
 釣り場は何といっても関東一の鮒釣り場と称されている茨城県稲敷郡と鹿島郡に跨《また》がる水郷地方である。千葉県の神崎向こう地が最も便利で、そこには脇川、ムジナ塚、新利根川、戸指川、グル川、大重沼、押っ堀、上の島、
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