ぶるに當つても確證《かくしやう》は唯動物性食物に取るのみ。
コロボツクルは食物を生《なま》にても食《くら》ひ又火食をもせしならん。
遺跡には灰有り、燒け木有り。コロボツクルは如何にして火を發《はつ》したるか。余は先《ま》づ此事《このこと》を述べて後に煮燒の事に説き及ぼすべし。
未開人の發火法《はつくわはう》に二大別有り。一は摩擦《まさつ》の利用《りよう》にして、一は急激《きうげき》なる衝突《しやうとつ》の利用《りよう》なり。木と木の摩擦《まさつ》も火を生じ、石と石或は石と金の衝突《しやうとつ》も火を生ず。最《もつと》も廣《ひろ》く行はるるは摩擦發火法《まさつはつくわはう》なるが是に又一|片《へん》の木切れに他の木切れを當《あ》てて鋸《のこぎり》の如くに運動《うんどう》さする仕方《しかた》も有り、同樣にして鉋《かんな》の如くに運動《うんどう》さする仕方も有り一片の木切れに細《ほそ》き棒《ぼう》の先を當てて錐《きり》の如くに揉《も》む仕方《しかた》も有るなり。コロボツクルは何《いづ》れの仕方に從《したが》つて火を得たるか。直接《ちよくせつ》の手段《しゆだん》にては到底《たうてい》考ふ可から
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