り ゐがひ たひらぎ めんがひ いたぼ かき(名稱は丘淺次郎氏に從ふ)
他の軟体動物[#「他の軟体動物」に白丸傍点] いか
魚の類[#「魚の類」に白丸傍点] たひ あかえい(此他種々の骨及ひ鱗有れど何に屬するや未だ詳ならず)
龜の類[#「龜の類」に白丸傍点] うみがめ
鳥の類[#「鳥の類」に白丸傍点] 種々有れど明記し難し。
哺乳動物[#「哺乳動物」に白丸傍点] くじら いのしし しか ひと(此所に「ひと」と云ふ事を記《しる》したるに付ては異樣《ゐよう》に感《かん》ずる讀者も有らん。順次《じゆんじ》記す所を見て疑《うたが》ひを解《と》かれよ。)
     ●調理法
余は貝塚に於ける遺物《ゐぶつ》に就《つい》て動物性食物の原料《げんれう》を調査《てうさ》したり。コロボツクルは植物性食物をも有《ゆう》せしに相違《そうゐ》無けれど、如何なる種類《しゆるい》の如何なる部が常食として撰《えら》ばれしや嗜好品として撰ばれしや、考定《かうてい》の材料不足《ざいりやうふそく》にして明言《めいげん》する能はず。口碑更に傳《つた》ふる所無く、遺跡《ゐせき》亦之を示すべき望み少《すくな》し。調理法を述《の》ぶるに當つても確證《かくしやう》は唯動物性食物に取るのみ。
コロボツクルは食物を生《なま》にても食《くら》ひ又火食をもせしならん。
遺跡には灰有り、燒け木有り。コロボツクルは如何にして火を發《はつ》したるか。余は先《ま》づ此事《このこと》を述べて後に煮燒の事に説き及ぼすべし。
未開人の發火法《はつくわはう》に二大別有り。一は摩擦《まさつ》の利用《りよう》にして、一は急激《きうげき》なる衝突《しやうとつ》の利用《りよう》なり。木と木の摩擦《まさつ》も火を生じ、石と石或は石と金の衝突《しやうとつ》も火を生ず。最《もつと》も廣《ひろ》く行はるるは摩擦發火法《まさつはつくわはう》なるが是に又一|片《へん》の木切れに他の木切れを當《あ》てて鋸《のこぎり》の如くに運動《うんどう》さする仕方《しかた》も有り、同樣にして鉋《かんな》の如くに運動《うんどう》さする仕方も有り一片の木切れに細《ほそ》き棒《ぼう》の先を當てて錐《きり》の如くに揉《も》む仕方《しかた》も有るなり。コロボツクルは何《いづ》れの仕方に從《したが》つて火を得たるか。直接《ちよくせつ》の手段《しゆだん》にては到底《たうてい》考ふ可から
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