ずみ》を上手《じやうず》にとれるやうになれば……
さうだ さうだ
みんな本分《ほんぶん》をつくせばいいんだ
○
あ! 天|文台《もんだい》の庭でお父さんがこつちを見てゐる
早く行かう
走れ! 走れ!
○
ほう よく来た、何にをみんなでしやべつてゐたんだ
ニャンちやんとピチ君が天|文学者《もんがくしや》になれないつて悲観《ひくわん》してゐたんです
○
アハハハ それは考《かんが》へちがひぢや
ニャン子 お前のヒゲは何のためにある
このヒゲですか 鼠《ねずみ》をとるために大|切《せつ》なものです
○
では どういう風《ふう》に使ふか やつてごらん
ハイ 世間《せけん》では猫《ねこ》はどんな暗《くら》やみでも見えるといひますが嘘《うそ》です
少しも光のない暗《くら》い所では目は見えませんから
○
さういふ時にかういふ格構《かくかう》でヒゲをかうして床《ゆか》にさはつて歩いて鼠の居《ゐ》さうな所をさがすのです
○
だから人|間《げん》はわたしたち猫のヒゲを切つてはいけません
○
そらごらん 猫のヒゲはそんな立派《りつぱ》な使ひ道がある
ところで この人間のヒゲは何のために生へてゐ
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