エッ? わしを火星で知つてゐたか?
○
エヘン! オホン
さうぢやらう そこでわしの研究《けんきう》を火星で知つてゐたかね
ええ 何にもかもみな知つてゐました
○
月|野《の》博士《はかせ》とお父さんと髯《ひげ》の引《ひ》つぱり合ひをしたのも
えッ? それはまたどうして? ……
(フフ)
(クスクス)
○
火星では 高い大きなビルデングのやうな望遠鏡《ばうゑんきやう》で 地|球《きう》の出来ごとをみてゐるのです
ナニ?
そんなばかげたことがあつてたまるものか
○
だつてお父さん ほんとにあつたんです
そんな馬鹿《ばか》なことはない!
まあ貴方《あなた》 それはテン太郎の夢《ゆめ》の話ぢやありませんか
○
僕《ぼく》 夢でほんとにみたんですよ
ほい 失敗《しま》つた! 本気に腹《はら》をたてたか ははゝゝ
○
さあさあ 朝ご飯《はん》の仕度《したく》ができました
しかしね テン太郎
地|球《きう》から火星《くわせい》を見るのに大|望遠鏡《ばうゑんきやう》がいるとはかぎらん
小さな望遠鏡でもいいんですか
○
さうぢや 鏡径《さしわたし》八インチか十インチもあれば沢山《たくさん
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