さあ みなさん! 今のうちに早くこの火星《くわせい》からお逃《に》げなさい
○
またガラスの病院《びやうゐん》をかぶせられてしまふのはいやだい
すぐ天|文台《もんだい》に行くのです 早く 早く! そしてロケットでお逃げなさい
○
看護婦《かんごふ》さん ありがたう
さあみんな続《つゞ》け!
早く! 早くしないと追《おつ》手がきます
○
なにをしてゐるのさ ピチクン トマトなんかむしつたりして のんきだわね
いや ロケットに食糧《しよくれう》を積《つ》みこまなければ!
抜《ぬ》けめがないな
○
走れ 走れ
地|球《きう》行きのロケットは 格納庫《かくなふこ》の一ばん右はじです
ありがたう!
○
さうだ! わたし看護婦さんにリボンもらつたんだけれど お別《わか》れの記念《きねん》にあげるものないわ
ぢや これをあげりやいい
○
ほんとにいいことを思ひついてくれたわ
これあげるわ 服《ふく》のボタンだけれど
まあ! きれいだことありがたう ではさやうなら
○
さあ 天|文台《もんだい》がすぐだよ
走れ 走れ!
○
さあ 着《つ》いたぞ!
これが格納庫《かくなふこ》だ
どこから
前へ
次へ
全64ページ中41ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
小熊 秀雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング