つぱつて台《だい》なしにしましたわい どれ櫛《くし》をもつてをりますよ


これは恐縮《きようしゆく》の至《いた》りです
いや、どうも お互《たが》ひさまで


ヒゲを引《ひ》つぱつてゐるときは どうなるかと思ひましたよ
そつと降《を》りやう いや、おどろいてしまつた
ほんとに心配《しんぱい》したわ でも仲直《なかなほ》りしてよかつたわ


お父《とう》さん お昼《ひる》のお弁当《べんたう》をもつてきました


おお テン太郎か
おや ニャン子にピチも御|苦労《くろう》 入り給《たま》へ


これは坊《ぼつ》ちやん やあ、いらつしやい いま貴方《あなた》のお父さんと床屋《とこや》ごつこをやつてゐましたわい
全《まつた》くその通り アハハ
ウフフ
ウフフ
ウフフ


けふのお弁当は何んぢや これはノリで包《つつ》んだおにぎりぢやなあ
何ぢや君たちは なにがそんなにおかしいのぢや
ウフフ クス クス


月|野《の》さん ひとついかが
ほほう これはわしの大|好物《かうぶつ》でして ひとつちやうだい致《いた》しませう


ええと これが火星《くわせい》だとしますと



前へ 次へ
全64ページ中5ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
小熊 秀雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング