バー》の娘さんは、不機嫌な顔をいたしました。そして
『お酒をやめなければ、あなたは偉い人間にはなれませんよ。』
 といふのでした。
 さてその男の、馬鹿げた話といふのは、かうなのです。
     *
 男は、北海道の、それはそれは広い、草ばつかりの丘の上で豚飼をはじめたのでした。
 まず最初、三頭のりつぱな種豚《たねぶた》を買ひこみました。この三頭の親豚を資本《もとで》にして、四五年のうちに、五六十頭も子豚を、殖やさうといふのでした。
 豚は、玩具《おもちや》のやうな小さな貨物列車にのつて、やつてきました。男はその三頭の種豚を、駅まで出迎へにまゐりました。
 豚たちは、いづれも元気でした。長い旅行をしてきたのに、脚一本傷ついてゐなかつたのです。豚はぴんぴん跳ね、そのあたりの草原をころげまはりました。
 男もうれしくなつて、道の傍から、一本の棒切れを拾ひ、それで上手に、三頭の豚のお尻をかはるがはる殴りました。そして豚小屋の方に連れてゆきました。
 ところが、男は道をまちがへて、とんでもない、河のあるところへ出てしまつたのです。
 そこで男は、河の面《おもて》をながめながら、ちよいと小首を
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