、昨夜《ゆうべ》の悪魔が、爪から入らうとして、トロちやんにチョキンと爪を切られて、逃げだした話をいひました。
お母さんや、お兄さんや、お姉さんは、トロちやんの大まじめの顔での、お話をきいてみな大笑ひをして、トロちやんの勇気をほめてくれました。
『お母さんは、トロちやんの小指の爪を切るのを、忘れたかしら』
かうお母さんが言つて調べてくれました。小指の爪だけ忘れてありました。
お母さんは、そこで爪切鋏で切つてくださいました。そして前日の約束通り夜遅くまでかかり、ちやんと仕立ててあつたトロちやんと、小猫のミケの小さな花模様美しいお座布団を、御褒美にくれました。
トロちやんと、ミケとはそれにならんで座りました。ミケも嬉しさうに、座布団の上に、立ちあがつて、両手両足をながながと伸ばし、トロちやんの顔を見ながら、背伸びをいたしました。
トロちやんは、これを見て驚ろいて、
『ミケ爪を出したら悪魔が入るのよ。』
と叱りつけました。
ミケも驚ろいて、ニャーンと鳴いてくるりと小さく座つて、爪をみんな隠してしまひましたとさ。(昭3・11愛国婦人)
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豚と青大将
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