つて
ヂャンボン、ヂャンボン、心得たものだ、
なんと充実した音響の世界、
僧侶は、信者がこゝで思索することを好まない、
一切は弥陀の他力本願であつて
仏を批判するものは地獄へをちるぞ――
高坐の上から説教師は
技術のすばらしさをもつて大衆を説得する、
突如、狼のやうに叫ぶかとおもへば
また猫のやうな猫撫で声になる、
摂津の八郎兵衛の宗教物語、
――お師匠さま
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弥陀の親さまの
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おんとしは
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幾つでござりませうか、
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おゝ、八郎兵衛
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弥陀の親さまの、おんとしか、
みだの親さまのおんとしは
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そちと同じだぞよ
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そちと同じだぞよ、
[#ここで字下げ終わり]
物語ひとくさり語り終ると
あちこちでは感動の嘆息とスヽリ泣き、
老婆は痩せた膝の中へ、すつかり頭を突つこんで
鼻水をすすり、すすり、
――あゝ、有り難い
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御慈悲さまでござります
私のやうなイタヅラものゝために
五劫十劫の
御苦労あそばされるとは
[#ここから
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