してあなたたちにも愛されてゐる、
そして私のゴシップを
探してゐる耳が沢山ゐる
なんの怖れることがあらう、
真直に立つてあるいてゐるとはいふものの
私はさかさはりつけのやうな
貧しい生活をやつてゐるのだ、
上からでも下からでも
私の行動を自由に観察してくれ給へ、
なんの怖れることがあらう、
ゴシップの傍杖を喰ふことが
怖ろしかつたら
愛人よ、
御自由に御引取り下さい、
私はさびしい北国の村で
海のどうどうといふ岸打つ波音に
楯ついて何年かすごしてきた、
世間の噂は自然のあの波音より
大きいやうなことも
永遠につづくやうなこともあるまい。
底本:「新版・小熊秀雄全集第1巻」創樹社
1990(平成2)年11月15日第1刷
入力:八巻美恵
校正:浜野智
1999年5月7日公開
1999年8月28日修正
青空文庫作成ファイル:
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