幾百萬の人民は印度の經濟的救濟の鍵を手に握るであらう。この目的を達するための訓練は數百年を要しない。宗教的觀念が目醒むるならば、民衆の思想は忽ちにして革命を起すのだ。無私の犧牲のみが絶對必要物である。現今犧牲の精神は印度の大氣に充溢してゐる。この絶好の時機にスワデシを勸説しなければ、吾々は後日後悔の臍を噛むであらう。
私はすべての印度教徒、囘教徒、シーク教徒、※[#「示+夭」、第3水準1−89−21]教徒、基督教徒、及び猶太人にして、印度國民たる信念をもつ人々が、スワデシの誓ひをなし、又他人にも同じ誓ひを立てるよう勸説せんことを懇願するものである。吾々が國家のためにかかる些事をすらなすことが出來ないとすれば、吾々は空しくこの國に生れたのであると私は心から信ずる。識者はかかるスワデシが純粹の經濟的意義を有することを知るであらう。私は、男も婦人もすべて私の謙遜なるこの暗示に就て眞面目に考慮されんことを望むものである。英國の經濟の模倣は、必ずや吾々の破滅を將來するであらう。
[#ここから3字下げ]
(この二つの論文はガンヂーがボンベイに於てスワデシの誓ひをなすことを決心した前日印度の邦字新聞に發表したものである。)
[#ここで字下げ終わり]
底本:「ガンヂーは叫ぶ」アルス
1942(昭和17)年6月20日初版発行
入力:田中敬三
校正:小林繁雄
2007年4月30日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全2ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
福永 渙 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング