し》り、財産《ざいさん》の重《おも》んずべきを知《し》つたのは、ツイ近《ちか》ごろのことである。
 從《したが》つて眞《しん》に耐震家屋《たいしんかおく》について考慮《かうりよ》し出《だ》したのは、あまり古《ふる》いことでない。
       五 耐震的建築の大成
 建築《けんちく》に耐震的考慮《たいしんてきかうりよ》を加《くは》ふるやうになつた第《だい》一の動機《どうき》は都市の建設[#「都市の建設」に丸傍点]である。
 人家密集《じんかみつしふ》の都市《とし》の中《なか》に、巨大《きよだい》なる建築《けんちく》が聳《そび》ゆるに至《いた》つて、はじめて震災《しんさい》の恐《おそ》るべきことが覿面《てきめん》に感《かん》ぜられる。
 いはゆる文化的都市《ぶんくわてきとし》が發達《はつたつ》すればするほど、災害《さいがい》が慘憺《さんたん》となる。從《したが》つて震災《しんさい》に對《たい》しても防備《ばうび》の考《かんが》へが起《お》こる。が、これも比較的《ひかくてき》新《あた》らしい時代《じだい》に屬《ぞく》する。
 第《だい》三の動機《どうき》は、科學の進歩[#「科學の進歩」に丸
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