ピタゴラス時代に於て、初めて音樂が始まつて來た、所が音樂も印度には、神前で歌を讀み、詩を誦する時に之を併せ用ひ、非常な古くから開けたもので、西洋の音樂の譜のド、レ、ミ、フ、ハ、ソ、ラ、セ、ドと云ふのも印度が元で、印度から歐羅巴に傳はつたのである、だから單純ながらも音樂の基礎は印度に始まつたと言つても宜しい、であるからピタゴラスが果して音樂を以て其精神を柔らげ、修養の助にしたとすれば、其の思想若くは技術は、矢張印度から得て來たものに相違ないと考へる、一般の人はピタゴラスが音樂を始めたと云うて居るが、是れは間違であらう、此等を綜合して考へるとピタゴラスの思想の中には印度から得來つたものが澤山あるやうである、而して古くから印度の思想慣習が、希臘に來て居つたものであるといふことは疑ひを容れぬ、尚ピタゴラスは前にいつた通り社會上に大なる勢力を持つて居つたものであるから、從つて希臘の人心に印度の思想が間接的大なる感化を與へたといふことも明らかである、夫れから下つてアリストテレースに就て御話致しませう、アリストテレースは、紀元前二百年代の人で、今からは大凡二千一百年代の人であります、此は有名なる希臘
前へ 次へ
全41ページ中26ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
松本 文三郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング