自分が定から出ると云ふた通り夫れまで打遣つて置いて呉れと頼んだ、けれども何うしても聽かず、遂に三日目に掘り出した、處が其の體は既に冷く成つて死人同樣である、で軍司令官は是れはしまつた、何うしても死んだに相違ないと考へました處へ、ハリダースの弟子が來て色々な術を行つて、不思議にも到頭又生返つた、其の手術といふのは先づ油をハリダースの頭へ灑いで、而して頭を頻りと摩擦した、夫れから眼だの手だの足だの殊に心臟の處を摩擦する、ツマリ熱を發せしむるのであらう、然う云ふやうな工合に遣つて居ると、初め十五分間ばかりは何の異状もなく死人同樣であつたが、夫れから段々と生きて居るやうな兆候が現はれて來て、一時間の後マルで舊の如く生返つて了つた、身體も精神も平常と何等の違ひはなくなつた、印度人は斯う云ふ事をするものがあると、非常に豪い人、聖人であるとして三拜九拜し、神よりも以上のものとして居るのである、兎に角是れが最初の試驗で、夫れから又再三試驗をしたが、最後に前よりは九年ばかりの後、千八百三十七年の歳、最も嚴重な試驗を行ふた。
此時はハリダースが四十日間定に入つたのである、四十日間の入定は是れまで實驗のない
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