ため教科書の程度、教材の分量は仮令今日に比し幾分低減すとも、直ちに知識の宝庫を示しこれが秘鑰を授くるは限りあり、固定知識を多量に授けて応用に苦しましむるに優れり。現実の知識は固より尊重すべしといえども[#「現実の知識は固より尊重すべしといえども」に白丸傍点]、学校にて授くる現実の知識には限りあり[#「学校にて授くる現実の知識には限りあり」に白丸傍点]。現実の知識はたとえば現金の如く[#「現実の知識はたとえば現金の如く」に白丸傍点]、知識の所在を示すはあたかも貯金に似たり[#「知識の所在を示すはあたかも貯金に似たり」に白丸傍点]。一人の携帯し得べき現金の量には限りあれども、貯金は必要に応じ何時にてもこれを引出すことを得べし、今日自学自修の必要は漸く識者の間に認められながら、いたずらにその声を聞くのみにてその実の挙らざるは、一はこれに要する教具の欠如せるがためならずんばあらず。
二、郷土読本 郷土趣味を極端に高調すれば固陋に陥るを免れざれども、郷土に立脚せざる教育は堅実ならず。今日の教育が郷土を出発点とすべきは理論として認められたるのみにて、府県としても郡市としても町村としても組織的にこ
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