と、小屋は一団の火のかたまりになっていた。炎の色が霧と雪にうつって、空も地面もいちめん朱金色にかがやきわたり、噴火でもはじまったようなすさまじいようすをしていた。たとえば大地が口をひらき、地獄の大業火が焔々とほむらをあげ、一切の不浄なもの、狭山とあの美しい人獣の死体を島もろとも焼き尽そうとしているかのように思われた。



底本:「久生十蘭全集 1[#「1」はローマ数字、1−13−21]」三一書房
   1969(昭和44)年11月30日第1版第1刷発行
初出:「大陸」
   1939(昭和14)年2月号
入力:tatsuki
校正:伊藤時也
2009年12月9日作成
青空文庫作成ファイル:
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