う話になった……そうですね?」
「その通り」
「昨年の春、水上氏は、あなたと二人で氷川丸で日本へ帰ることになったが、出帆の前夜、うれしまぎれに、シアトルの宿で、酒を飲んで踊ったりしたので、心臓衰弱で倒れた……水上氏には、前から弁膜に故障があって、自分の身体のことはよく知っている。証人を二人たてて、将来、水上サト子に再譲渡するという条件つきで、鉱業権を有償であなたに譲渡した……それが、たった一ドルだというから、バカげているじゃないですか」
「一ドルだって高価《たか》い……水上氏の臨終の依頼だから、ひきうけたようなものの、正直なところ、あんなものには、一セントだって、払う気はなかった……当時の私にとって、一ドルは、血の出るような金だったから」
芳夫の手にあいそうもないので、由良がひきとって、搦手《からめて》から仕掛けにかかった。
「この間、伺うのを忘れましたが、父の遺骸《いがい》は、どうなっているんでしょう?」
「シアトルの、日本墓地へ埋葬しました」
「お骨にして、持って帰ってくださる親切は、なかったのね?」
「水上氏は、アメリカの土になることを望んでいられました」
「サト子はお祖父《じ
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