一郎は、なにもかも、あなたにうちあけたわけなのね?」
中村は、うなずいた。
「もっとも、言わせるように術を施したからなんで、そうでもしなければ、なかなか口を割らなかったろう……だが、あれは、釣りだされたとは考えていないようだ」
無慈悲な中村の横顔を見ているうちに、サト子は、手がふるえるほど、昂奮してきた。
「愛一郎が恐れているのは、美しいイメージをもっている父親に、幻滅の悲哀を味わわせたくないということなんでしょう……そんなにまでして隠そうとしている尊属の秘密を、みなのまえでさらけだしたんですか」
中村は、苦味のある微笑をうかべながら、
「そうまでのことは、しなかった……署長と捜査主任に退ってもらって、ふたりだけの対坐でやった……山岸カオルの話で、むかし神月の巣だった久慈の屋敷へ、愛一郎がどんな目的ではいりこんだか、だいたい、わかっているんだが、久慈の顔が見たくなって、フラフラとはいりこんだなどと突っ張るのには、弱った……久慈の娘の、暁子《あきこ》ってのを呼びだして話をさせると、久慈の娘は愛一郎に惚《ほ》れているもんだから、私に会いに来てくれたんだなどと、平気な顔で偽証して、愛一
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