希臘《ギリシヤ》に行《い》つてお傳《つた》へなさい、此處《こゝ》では那樣哲學《そんなてつがく》は氣候《きこう》に合《あ》ひません。いやさうと、私《わたくし》は誰《たれ》かとヂオゲンの話《はなし》を爲《し》ましたつけ、貴方《あなた》とでしたらうか?』
『左樣《さやう》昨日《きのふ》私《わたくし》と。』
『ヂオゲンは勿論《もちろん》書齋《しよさい》だとか、暖《あたゝか》い住居《すまゐ》だとかには頓着《とんぢやく》しませんでした。是《これ》は彼《か》の地《ち》が暖《あたゝか》いからです。樽《たる》の中《うち》に寐轉《ねころが》つて蜜柑《みかん》や、橄欖《かんらん》を食《た》べてゐれば其《そ》れで過《すご》される。然《しか》し彼《かれ》をして露西亞《ロシヤ》に住《すま》はしめたならば、彼《かれ》必《かなら》ず十二|月《ぐわつ》所《どころ》ではない、三|月《ぐわつ》の陽氣《やうき》に成《な》つても、室《へや》の内《うち》に籠《こも》つてゐたがるでせう。寒氣《かんき》の爲《ため》に體《からだ》も何《なに》も屈曲《まが》つて了《しま》ふでせう。』
『いや寒氣《かんき》だとか、疼痛《とうつう》だとかは
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