り。およそ人の文辞に序する者、心誠これを善《ほ》め、また必ず揚※[#「てへん+霍」、63−下−14]《ようかく》をなすべきあり。しからずんば、いたずらに筆を援《と》りて賛美の語を※[#「てへん+璃のつくり」、第4水準2−13−42]《の》べ、もって責めを塞《ふさ》ぐ。輓近《ばんきん》の文士往々にしてしかり。これ直諛《ちょくゆ》なるのみ。余のはなはだ取らざるところなり。これをもって来たり請う者あるごとにおおむねみな辞して応ぜず。今徳富君の業を誦《よ》むに及んで感歎|措《お》くことあたわず。破格の一言をなさざるを得ず。すなわちこれを書し、もってこれを還《かえ》す。
  明治二十年一月中旬
[#地から1字上げ]高知 中江篤介 撰



底本:「日本の名著 40」中央公論社
   1971(昭和46)年8月10日初版発行
   1982(昭和57)年2月25日3版発行
底本の親本:「将来の日本」経済雑誌社
   1887(明治20)年第3版
初出:「将来の日本」経済雑誌社
   1887(明治20)年第3版
入力:田部井 荘舟
校正:門田裕志、小林繁雄
2009年4月1日作成
青空文庫作成ファ
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