い水がいっぱいにたたえられてありました。そのなかへ蛙《かえる》たちは、とぶんとぶんととびこみました。
 からだをあらってから緑の蛙《かえる》が目をぱちくりさせて、
「やあ、きみの黄色は美しい。」
といいました。
「そういえば、きみの緑だってすばらしいよ。」
と黄色の蛙《かえる》がいいました。
 そこで二ひきの蛙《かえる》は、
「もうけんかはよそう。」
といいあいました。
 よくねむったあとでは、人間でも蛙《かえる》でも、きげんがよくなるものであります。



底本:「ごんぎつね 新美南吉童話作品集1」てのり文庫、大日本図書
   1988(昭和63)年7月8日第1刷発行
底本の親本:「校定 新美南吉全集」大日本図書
入力:めいこ
校正:鈴木厚司、もりみつじゅんじ
2003年9月29日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
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