した。
 神さまはめんくらいました。いたずらな子どものことだから、つかまったらどんなめにあうかしれません。
 ひとりのせいたかのっぽの子どものまたの下をくぐって、神さまは森へにげかえりました。けれど、あまりあわてたので靴《くつ》をかたほう落としてきてしまいました。
 子どもたちは雪の上から、まだあたたかい小さな赤い靴《くつ》をひろいました。
「神さまはこんな小さな靴《くつ》をはいてたんだね。」
といってみんなで笑《わら》いました。
 そのことがあってから、神さまはもうめったに森から出てこなくなりました。それでもやはり子どもがすきなものだから、子どもたちが森へ遊びにゆくと、森のおくから、
「おオい、おオい。」
とよびかけたりします。



底本:「ごんぎつね 新美南吉童話作品集1」てのり文庫、大日本図書
   1988(昭和63)年7月8日第1刷発行
底本の親本:「校定 新美南吉全集」大日本図書
入力:めいこ
校正:鈴木厚司、もりみつじゅんじ
2003年9月29日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全2ページ中2ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
新美 南吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング