も彼はそれよりさきに、封筒を取上げて今更のように顔を赤くした、同時に眼の下を冷たいものが、たらたらと流れた。
「垂水洋鵝……ァ、そうだったのか?」
 かの放浪者こそ小村が常に尊敬している、文壇の大先輩だったのだった。
[#地付き](一九二七年八月号)



底本:「「探偵趣味」傑作選 幻の探偵雑誌2」光文社文庫、光文社
   2000(平成12)年4月20日初版1刷発行
初出:「探偵趣味」
   1927(昭和2)年8月号
入力:網迫、土屋隆
校正:noriko saito
2005年9月10日作成
青空文庫作成ファイル:
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