止めず切磋《せっさ》を怠《おこた》らず、孔子と弟子達とは倦《う》まずに国々への旅を続けた。「鳥よく木を択《えら》ぶ。木|豈《あ》に鳥を択ばんや。」などと至って気位は高いが、決して世を拗《す》ねたのではなく、あくまで用いられんことを求めている。そして、己等《おのれら》の用いられようとするのは己がために非ずして天下のため、道のためなのだと本気で[#「本気で」に傍点]――全く呆《あき》れたことに本気で[#「本気で」に傍点]そう考えている。乏しくとも常に明るく、苦しくとも望を捨てない。誠に不思議な一行であった。
 一行が招かれて楚《そ》の昭王の許《もと》へ行こうとした時、陳《ちん》・蔡《さい》の大夫共が相計り秘かに暴徒を集めて孔子等を途に囲ましめた。孔子の楚に用いられることを惧《おそ》れこれを妨げようとしたのである。暴徒に襲われるのはこれが始めてではなかったが、この時は最も困窮に陥《おちい》った。糧道《りょうどう》が絶たれ、一同火食せざること七日に及《およ》んだ。さすがに、餒《う》え、疲《つか》れ、病者も続出する。弟子達の困憊《こんぱい》と恐惶《きょうこう》との間に在って孔子は独り気力少しも衰
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