とを、私共は今から知ることが出来る。そして一般に数学がこの種の大きさの研究を目的とするとしたら、たしかにここに、今まで数学者が忘れていて充分に研究されていなかった数学の一分科、交換価値の理論があるわけである。
 私は、この科学が経済学の全部であるとはいわない。これは既に人々が熟知している所である。力、速度は評価し得る力であるが、力と速度の数学的理論が力学の全部ではない。しかしこの純粋力学が応用力学に先行せねばならぬことも確かである。同様に応用経済学に先行する純粋経済学があり、この純粋経済学は物理数学的科学に全く相類する科学である。この主張は全く斬新であり、奇異に見えるかもしれない。しかし私は既にこの主張を証明した。私はこれを更によく証明するであろう。
 純粋経済学すなわち交換価値と交換の理論、更に換言すれば抽象的に考えられた社会的富の理論が、力学・水力学の如く、物理数学的科学であるとしたら、それに数学的方法と用語とを用いるのに、何らの躊躇をする必要はない。
 数学的方法は経験的方法ではなく、合理的方法である。狭義の自然科学は、自然を純粋に単純に記述するに止まり、経験の領域外に出ないもの
前へ 次へ
全572ページ中95ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ワルラス マリー・エスプリ・レオン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング