荷貯蔵量の一部を破棄してその価格を騰貴せしめることが出来る。また小麦に代えて、米、馬鈴薯、またはその他の物を食して、この価格を下落せしめることも出来る。また小麦一ヘクトリットルの価値は二四フランではなく、二〇フランであるべしと法律で定めることさえも出来る。前の場合には我々が価値の原因に働きを加えたのであって、自然的価値を、他の自然的価値に置き換えたに過ぎない。第二の場合には我々は事実そのものに働きを加えたのであって、自然的価値に人為的価値を加えたのである。最後に厳密にいえば、交換を廃止して、価値を廃止することも出来る。しかしもし交換を行うものとして、在庫貯蔵量と消費量とのある状態、一言にいって稀少性の状態が与えられたとすれば、それからある価値が生じまたは生じようとする傾向を我々は妨げ得ないであろう。
 二九 小麦一ヘクトリットルは二四フランの価値がある。だがこの場合にこの事実は数学的性質をもっていることを注意すべきである。銀で表わした小麦の価値すなわち小麦の価格は、昨日、二二または二三フランであった。先刻は二三・五〇フランまたは二三・七五フランであった。しばらくの後には二四・二五フラン
前へ 次へ
全572ページ中92ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
ワルラス マリー・エスプリ・レオン の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング