るように、稀少性とは、利用の量に対する比、または一単位の量のうちに含まれる利用をいうのであろうか。しばらく私はこの点に対する断定を下すのを差控え、後に再びこの論究に立ち帰るであろう。ところで利用のある物はその量の制限せられている事実によって稀少となるのであるが、この結果として三つの事情が生れる。
 二三 (1)量において限られかつ利用のある物は、専有せられる。無用の物は、専有せられない。何らの用途にも役立たない物は、何人もこれを専有しようと思わない。また利用のある物であっても無限の量のあるものは専有せられない。まずこのような物は、無理に押し付けることも出来ねばまた差押えることも出来ない。人々はこれらの物を共有の状態から取り去ってしまうとしたところで、無限の量があるから、出来るものではない。大部分を各自の処分の下に置き得るのならとにかく、わずか一部分を所有し貯えておいて、何になるか。何かにこれを利用しようとするのか。だが、何人も常にこれを獲得出来るのに、誰がこれを需要するのか。それとも自らこれを使用するためなのであるか。だが常にいつでもこれを獲得出来ることが確実であるとしたら、これを貯蔵
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