ニいい、反対の二つの場合にはこの価値は減少するといい、利子率は進歩的社会においては低下するといい、地代に課せられる租税はすべて地主の負担に帰し、土地の生産物の価格を変化せしめないというとき、経済学は純粋の科学的研究をなしているのである。スミス自身もこのような純粋の科学的研究をしている。彼の弟子マルサスは「人口論」(一七九八年)において、リカルドは「経済学及び課税の原理」(一八一七年)において、より多く純粋科学的研究をなしている。故にスミスの定義は、本来の科学として考えられた経済学の目的を指示しなかったという意味において不完全である。まことに経済学が人民に豊富な収入を得せしめ、国家に充分な収入を得せしめることを目的とするというのは、幾何学が堅牢な家屋を建築することを目的とするといい、あるいは天文学は海上を安全に航海することを目的とするというに等しい。一言にいえばそれは科学を応用の方面から定義しようとするものである。
 五 スミスの定義についての右の考察は、科学の目的に関するものである。私はその性質についても同様に重大な考察をしておかねばならぬ。
 人民に豊富な収入を得せしめかつ国家に充分
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